山岡 俊平

美術作家 
神奈川県三浦市在住

□ 私の制作活動に刺激を与えてくれたものは
  アルバート ジャコメッティの、人体のボリュームを極限まで削ぎ落とし人間の実存を表現した作品群に傾倒、
  大分県国東半島の寺院に多く残る、火災などで大半を焼失しながらもなお凛とした姿の焼仏たち、
  東京国立博物館所蔵の鉄製輪鎧(わあぶみ/乗馬の際の足掛け)の一部が朽ちながらも力強く残る鉄の強さと、鎧の形状など、
  東大寺法華堂の日光・月光菩薩像などの仏像に、物理的な存在感ではなく精神的な強さと静謐な世界観、
  月の光を反射させる役目をもつといわれる銀閣寺銀沙灘など禅宗寺院庭園の単純化・抽象化された空間、
それらに強い魅力を感じてきました。

□ それらから影響を受け感化される中で、私の制作活動の基本的な考え方や目指す表現は
揺るぎない確かな物理的存在感、重量感を持つ作品ではなく、
 「軽さを感じさせる空間」「軽やかな構造」、
 「静謐な空間」「静かにかつ強く感覚に訴える空間」「張り詰めた構造」、
 「音を感じさせない空間」「時が止まったような空間」、
以上のいずれか、または全てを視野に入れて制作してきました。

□ そのための手法や具体的な作品の在り方は
 丸や四角の中を抜き輪や枠を作り、内包するまたは取り巻く空間を作る、
 それらの連続によって出来上がる空間を作る、
 隙間のある積層する平面や、空間の中で緊張感を持って組み上げられた面によって出来上がる空間を作る、
 間に空気の層を抱く点や面、または空気の層に抱かれる点や面、それらで全体を作る、
などの作品を制作してきました。

□ 2019年以降現在では
  これまでの制作活動の考え方をさらに純化させ、
  作り手の不必要な作為を介入せず、かつ素材の表情に依存することなく、
  作品を作者の造形的な思い入れから離れた「自律したもの」としたい。
それらの考えから、「静謐な空間」「軽さの空間」「張り詰めた空気を感じる場」をキーワードに、   
「間の軽ろみ — manokaromi — 」シリーズとして制作しています。


 

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