展覧会


  Exhibition


  個展

  1982年 みゆき画廊

  1983年 ルナミ画廊

  1984年 ルナミ画廊

  1985年 ルナミ画廊

  1986年 ギャラリープラスワン

  1987年 ギャラリー山口

  1988年 ギャラリー山口

  1994年 ギャラリー山口

  1999年 ギャラリー山口

 

  出品

  1977年 グループ展 立・面…5  ギャラリー銀座三番街

  1979年 東京芸術大学卒業制作展  東京都美術館

  1980年 第35回行動美術展彫刻部門  東京都美術館

  1981年 東京芸術大学修了作品展  東京都美術館

  1981年 第36回行動美術展彫刻部門  東京都美術館

  1981年 グループ展"種まく庭"  世田谷公園

  1982年 グループ展"分・度・器"  有栖川公園 法政大学学生会館

  1984年 第7回日本金属造型作家展  銀座和光ホール

  1985年 第17回現代日本美術展  東京都美術館 京都市美術館

  1986年 グループ展"パーティー"  浜松町東芝ビル

  1987年 はこで考える-あそびの木箱'87  北海道立旭川美術館

  1987年 グループ展 青山ビル彫刻展  青山一番街ビル

  1990年 グループ展 エイプリル1st展  ギャラリー和田

  1991年 グループ展"風"の造形展  すみだリバーサイドギャラリー

  1992年 グループ展 エイプリル1st展 VOLⅢ  ギャラリー和田

  1998年 グループ展"邂逅展"  下関市立美術館

  1999年 日本鋳金家協会「日本の鋳金 いものの形展」高岡市立美術館 埼玉県近代立美術館

  2000年 グループ展"邂逅展"   下関市立美術館

  2001年 環境芸術学会第2回大会co-creation2001作品発表 コトブキD・Iセンター

  2001年 「北九州博覧祭2001」作品発表  北九州博覧祭2001「健康やすらぎ館」

  2002年 グループ展"邂逅展"  下関市立美術館

  2002年 グループ展"デザイン学部展"  福岡県立美術館

  2004年 グループ展"邂逅展"  下関市立美術館

  2006年 グループ展"邂逅展"  下関市立美術館

  2009年 グループ展"邂逅展"  下関市立美術館

 

Criticism 1

批評文タイトル/反重力・浮遊のイメージ
批評文筆者/望月菊磨
掲載誌/商店建築1983年9月号 ニュースコラム:アート

山岡俊平展
会場/東京・銀座ルナミ画廊 
会期/1983年7月

写真解説
空間にあたかも石が浮遊しているような作品。重さのイメージが最も強い石を素材にしているのでより鮮烈な反重力のイメージがある。
素材=絹糸(16号)を渋木(ヤマモモの皮)を煎じた染液で染めたもの。
   自然石(山奥の鉄分を多く含んだ石)

山岡俊平


本文
反重力へのあこがれ
彫刻家や立体造形家にとって最も気になる壁は重力であろう。多くの作家はこの中で闘う。彫刻家にとって反重力や浮遊感覚は一種のあこがれである。重い量感を浮かせるように見せかけたり、軽快なイメージを演出するために大きな努力を払う。もちろん一方ではこの抜きさしならない条件を正面から取り込み、どっしりとした安定感ある、また重厚な作品を制作する彫刻家ももちろん多くいる。
ここに紹介する作家も重さや重力をテーマにして制作していた。7月11日〜7月16日銀座ルナミ画廊で開かれた山岡俊平展である。山岡氏は、以前四角のフレームに黒いビニール、またはゴム状の布(以上原文のまま、実際はゴム板)を張り壁に立てかけ、そこに鉄材をもたせかけ、あるいは岩石をのせることにより布(ゴム板)が重さによってできる膜のたわみの生む緊張したフォルムをテーマにして制作していたが、今回も同一線上の仕事と思われるが、目に見える印象は今までとは異なった作品の発表となっていた。その作品は画廊の空間を入り口を中心に左右に分け、おのおの壁から壁へ0.8〜1.0mmくらいの太さの一見ワイヤーのように見える絹糸をほぼ平行に無数に渡し、そこに握りこぶしほどの割石(角が鋭角)|を絹糸でしばり、渡した糸の数だけ渡した糸の数だけ張られた糸に吊り下げていたのであった。糸は石の重量でのび張り、その緊張した頂点よりも少し下がったところに石があった。細い直線と無数の石による静的な空間構成的作品であった。この作品において石が吊られていること自体は、あまり意識されず、むしろ石にかかる重力が消え浮遊感覚が画廊全体に漂っていた。そして印象は無音であった。SF映画に見る宇宙空間を漂う宇宙塵のイメージである。大きくはないが重いはずの石が奥行きをもって空中に点在し広がり、そこに緊張し切った細い糸が無数に交錯していた。画廊に一歩足を踏み込むと、日常的重力感を一瞬失わせるような効果を持った空間となっていた。山岡氏の今までの作品と意識上では同一線上の仕事であろうと思われるが、重力感においては全く正反対の表現となっていた。

 


Criticism 2

批評文筆者/篠田達美
掲載誌/美術手帖1986年9月号 ART '86 61→30

説明
山岡俊平展
会場/東京・ギャラリー+1
会期/1986年6月

山岡俊平


本文
 鉄が産業構造のダイナミズムを象徴した時代は見はるかす昔になっていて、ティンゲリーがその終焉を戯画化し、せいぜいデ・スヴェロが仄めかす程度だ。チェンバレンでジャンクとなり、ジャッド、アンドレでユニット化、セラにおいて空間の異化として用いられる。象徴—没落—単化—異化の径路が鉄の社会的記号の一つの変遷として浮かぶ。
 日本では李禹煥のある種の作品に例を見るように、単化された鉄板上の錆を評価することによって異化による時間制を導入し、永遠と瞬間の出会いが導く精神の"高さ"を記号内容の一つとしようとしたことが思い浮かぶ。最近の画廊での鉄の使われ方の一特徴として、鉄から台座がなくなったように、鉄から"重さ"や"高さ"の台座がなくなっている。
 山岡俊平の作品を念頭に置いているのであるが、それにしても英雄を象徴した鉄が没落、単化、異化の道程をたどって、どこにも英雄が見出せないように、「重」「高」を見出せぬ現代において、感性と感情の擬人化のための素材として表れている、またある意味でそうならざるをえない、という有り様を物語ってはいまいか。
 壁に重ねられた台形の鉄板と、その弾力を抑止する弱い素材である木 (この場合はコブシの木) はユニットをなぞっているが、もはやユニットではない。細かいサンドペーパーで一律に磨き込まれた鉄板は、エッジの部分で酸化皮膜が剥落してゆき、計算外の効果を作るが、その異化は異化作用としての力を持たない。空間を異化させるには構造の表出の仕方が弱い。これは否定的な見地を表明するする目的で言うのではなく、作者の意図がそれらに対しては希薄であるという推測を述べているのだ。鉄とその色彩、穴、木との組み合わせ、くさびとなっている木の形と方向性に、表情がある。その全体の表情の有り様が同時代的に見てある種の抽象をおこなっているかという問いになっている。そのレヴェルの問いに対しては肯定的だ。しかし、さらなる造形の強さと緊密さにおいて同質の抽象をよりさせて実現できる可能性を、この作家に見ておきたい。ユニットの変質は造形に向かうしかないからだ。 (しのだたつみ・美術評論)

 


Criticism 3

批評文筆者/Koplos,Jonet
掲載誌/Contemporry Japanese sculpture
発行年/1991年
発行所/ABBEVILL PREESS

説明
山岡俊平
shunpei Yamaoka [born 1953]
Study for construction, 1987
Steel,wood;31 1/2 ×66 7/8×66 7/8 in [80×170×170cm]

山岡俊平


本文(原文)
Shunpei Yamaoka's work also focuses on connections. He uses thin steel plates that are overlapped and connected with oversize wooden pegs and dowels. The sheets of steel or the heavy paper he occasionally uses are relatively modest in size and in weight. The round wooden plugs,individually carved,pass through unremarkable square holes. In Yamaoka's concept,wood is the weak point and must be enlarged to secure the connection. He often increases the apparent tension and strain on the wooden connecting points by bending the steel. Ultimately, the number and size of the linkages are so visually compelling that they, rather than the forms linked, are the focus.

本文(和訳)
山岡俊平の作品は、つながりにも焦点を当てて(主題を置いて)います。 彼は、薄い鋼板を重ねて使用し、大きな木製の楔とダボで接続しています。 彼が時々使用する鋼板や厚紙は、サイズと重量が比較的控えめです。 個別に彫られた丸い木製の栓は、目立たない正方形の穴を通過します。 山岡の考えでは、木は弱点であり、接続を確保するために拡大する必要があります。 彼はしばしば鋼を曲げることにより、木製の接続点の見かけの張力とひずみを増加させます。 結局のところ、結合の数とサイズは視覚的に魅力的であり、連結された形状ではなく、それらが焦点(作品のポイント)になります。